徳島県阿波踊り協会 会長
池上治徳
徳島県阿波踊り協会は1969年12月、徳島県内全域の53連が集い、郷土芸能としての阿波踊りの発展と振興を目指して誕生しました。高度経済成長の終盤、生活様式に大きな変化が生まれた時代。阿波踊りも、大阪で開かれた万国博覧会への出演を機に「魅せる踊り」へと変わっていきます。私たちは各地の祭りや催しで精力的に活動しつつ研鑽に励み、それぞれの個性に磨きを掛けてまいりました。その結果、演舞場の視線を集めるスター踊り子が生まれ、洗練された鳴り物や踊りは海外でも人気を呼ぶまでとなりました。大きな演舞場をはじめ、祭りの舞台、海外のイベント、被災地の街角と、これまでに踊った場所は数知れません。そこに集う方々と共有した時間は、私たちのかけがえのない宝物となっています。
そして新しい時代の幕開けとなる令和元年に創立50年を迎え、アスティとくしまをはじめとする県内3ヵ所で記念公演を開き、徳島県三好市の阿波踊りにも参加させていただいて多くの皆様と節目を祝うことができました。 近年は新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、各連の活動やイベント開催が困難となる状況が続きました。「このままでは阿波踊りの灯が途絶えてしまわないか」。そんな危機感から、私たちは感染対策を行いながら、可能な限り公演に取り組んできました。2022年春には、誰でも参加していただける新しいイベント「阿波おどり春の祭典 紡ぐ」を徳島中央公園で開催。出演連と来場者の皆様や行政、関係者の皆様にご協力いただき、新緑のもと、踊れる喜びを再認識しました。23年の新春公演では、各連の個性を存分に生かした演出を取り入れ、県協会らしい華々しい舞台で来場者の皆様と新年の幕開けを祝いました。これからは、徳島県内はもちろんのこと全国各地、また国外へ踊りの輪を広げていきたいと願っております。
いつの時代も、阿波踊りは、言葉や年齢や国籍を超えて分かち合える歓喜の踊りです。県協会所属54連は、それぞれに先人から受け継いだこの文化をさらに発展させ、徳島の地から発信し続けます。そして阿波踊りを介して生まれるコミュニティーを守っていく所存です。
今後とも末永くご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。